square garden:1章 『分からない』
戸惑い。
私の中は、今ほとんどそれに満たされてる。
憧れてきた人からの告白に、
そして、それを手放しで喜んで受け入れられない自分に。
――夜。
目を閉じても、色々な考えがグルグル回って眠れない。
そっと窓を開けて、夜風を部屋に引き込む。
少し湿気を帯びた涼やかな風に髪を遊ばせる。
・・・なんで、こんなに悩むのだろう?
今まで見た夢の中では、何の迷いもなくブライト様の胸に飛び込んで、2人は花とキラキラの光を纏いながら結婚式に突入、なんて展開だったのに。
そうよ、ずっと望んできた事が、現実になったのに。
窓に体を預けて、そっと指を組む。
簡単な事なのよ。
ただ「はい」って一言答えるだけ。
分からないのは・・・、ブライト様の気持ち。
ふと目をテーブルに移す。
その上には1通の手紙。
今日、ブライト様から渡された物。
その中の2行を何度も読み返す。
『――レイン、この前はいきなりごめんね。
突然で驚いたと思うけど、僕は本気だから』
・・・信じてみようか。
そして、明日にでも返事をしよう。
そう思いながら振り仰いだ空には、月が優しく浮かんでいた。