1 プロローグ | |
広い宇宙に漂う小さな星―ふしぎ星。
かつて、闇に支配されそうになったことなど、まるで嘘のように人々は幸せな生活を送っていた。
今日は、その幸せも更に増しているようだ。
なんといっても月の国のプリンスと、おひさまの国のプリンセスの結婚式なのだから・・・。
式は、月の国のほど近くの神殿で行われる。
その通路の一角で、おひさまの国の妹姫ファインは、緊張した面持ちで赤い巻き髪をもてあそんでいた。
「こんな所で何してるんだ?」
「あ、シェイド!」
シェイドは月の国のプリンス、今日の式の主役だ。
「控え室だと落ち着かなくってさ。シェイドとは長く付き合ってたけど、いざ結婚ってなると緊張しちゃうみたい☆」
「・・・そうか」
返事はぶっきらぼうだったが、シェイドの顔は微かに赤くなっていた。
「しかし、大変だな。ふたごっていうのも」
「ホントにね〜。レインのドキドキがより強くうつっちゃうから、近くにいられないし。おかげでレインの花嫁姿あんまり見れなかったよ〜」
「クスクス。その代わりに僕がたっぷり見てきてあげたよ、ファインv」
「・・・ブライト」
「やあ、シェイド。悪いね。先に花嫁さん、おがませてもらったよ♪」
宝石の国のプリンスらしい爽やかな笑顔で現れたブライトに、シェイドは軽くムッとした。
自分の花嫁が昔ブライトに憧れていた事を、いまだに覚えていたからだ。
その雰囲気を野生の勘で察知したファインは、あわててシェイドの背中を押した。
「シェ、シェイドもはやく見てきてあげて!!ね!!」
「あ、ああ・・・」
「すっごいキレイだから、目いっぱい期待しても大丈夫だよ。 レイン、シェイドの為に何日も前から大変だったんだよ☆」
ウィンクしながら言われたファインのセリフに、シェイドはようやく笑った。
「ああ、ありがとう。」
花嫁の控え室へと足早に向かうシェイドの後姿を見ながらブライトは苦笑した。
「あんまり表情に出してないけど、シェイドも結構緊張してるみたいだねv」
「ね☆ でも、しょうがないよ。花婿さんだもんv」
つい、
とファインはブライトに歩み寄って笑った。
「それに、ブライトだって私たちの時にはガチガチに緊張しちゃうかもよ?」
「ファ、ファインっ!!(照)」
「アハハハハッ☆」
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